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藤本海帆さんのモーツァルテウム音楽大学留学日記

名古屋音楽大学は、歴史あるザルツブルグのモーツァルテウム音楽大学との国際交流により、

グローバルな見識と互いの文化的絆を深めることを目的として協定合意書を締結しています。
2022年9月より単位互換システム(erasmus・エラスムスプラス)による短期留学生として、

大学院音楽研究科 器楽専攻(ピアノ)1年生の藤本海帆さん(浜松学芸高等学校 芸術科音楽コース→

名古屋音楽大学ピアノ演奏家コース卒業)がモーツァルテウム音楽大学で研鑽を積んでいます。

 

藤本海帆さんの近況報告

2022年9月から交換留学生として勉強するためにザルツブルグに到着してから約3ヶ月が過ぎました。

このレポートを書いている今は12月の半ばで、数週間前からは各地でクリスマスマーケットや教会でのクリスマスに向けたコンサートが始まり、1週間ほど前からは雪が積もっているため今まで以上に日本との違いを肌で感じられています。

よく散歩で通りかかる池が寒さにより秋とは違う姿を見せてくれたときには思わず一人で声を出してしまうほど感動しました。
ザルツブルグ・モーツァルテウム大学ではピアノの個人レッスンの他にドイツ語と室内楽2つを履修していて、レッスンはドイツ語で受けています。私が現在師事しているゲレオン・クライナー先生はとてもユニークな方で、レッスンでは表情や体の動きなども使って指導してくださります。楽しいだけでなく、毎回私に必要なものを教えてくださるためレッスンのあとはいつも意欲的になります。クライナー先生のクラスは半期に4度クラスコンサートがあり、これまでに2回演奏させていただきました。毎回参加するわけではありませんが、ほとんど毎週クラス内での弾き合い会もあります。人に演奏を聴いていただき、友人の演奏から刺激を受けるという貴重な体験ができ、充実した毎日を送ることができています。
室内楽はドイツ出身の学生とのピアノ・デュオと、ヴァイオリンの先生と演奏するレッスンの2種類を受けています。ピアノ・デュオでは2人で練習する際お互いに根拠をはっきりと示しながら意見の交換をするため、考えながら練習をすることをの必要性を日々感じています。ヴァイオリンの先生のレッスンでは毎回違うモーツァルトのヴァイオリン・ソナタを先生と一緒に演奏します。譜読みが大変と感じることもありますが、先生の素敵なヴァイオリンと一緒に演奏できて毎回のレッスンがとても楽しく、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタが大好きになりました。
私が留学をしたいと考えるようになった理由の一つに、「音楽にも言葉の壁がある」と聴いたことがあり、言語と音楽の関係に興味を持ったということがあります。モーツァルテウム大学では多くのコンサートがあり、色々な学生の演奏を聴くことができます。プログラムに出身国が書いてあるわけではないのですが、何人ものピアノ演奏を続けて聴いた際、アジア人、特に日本人の演奏を聴くと不思議なことに耳馴染みがあるように感じられ、何が違うのかはっきりはわからないながらもなにか地域によって演奏にも確実に特徴があるのだということがわかりました。それが言葉の違いによるものなのか、文化のちがいによるものなのかは私には全くわからないため、今まで以上に地域と音楽の関係についての興味が湧きました。ここで学んでいるからこそ持てた興味であるため、忘れないように日々答えを探していきたいと考えています。
こちらでの学びが始まったばかりの頃は言葉が今よりもわからず友達をつくることができないのではないかということや外で間違ったことをして怒られるのではないかという不安がありましたが、私のあまりにも拙い英語やドイツ語を理解しようとし、私が理解できるよう何度も説明してくれる方が非常に多く、言語や文化が違っても人の暖かさを感じられると知り、想像していたよりもずっと早く不安から抜け出すことができました。最近は寮の学生とキッチンでたくさん話したり、クリスマスツリーの飾りつけをしたり、クラスコンサートで伴奏させてもらったりと色々なことを一緒にできることが少しずつ増えてきて毎日がとても楽しいです。今こうしてザルツブルグで元気に勉強できていることは数え切れないほど多くの方に支えていただいているおかげだということを日々感じ、私も誰かを支えられるように成長したいと思っています。支えてくださっている方々のご厚意に応えるためにも精一杯学びに取り組み、多くのことを吸収したいです。

 

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