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2024年度 名古屋音楽大学 入学認定式 清水皇樹 学長式辞(全文)

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新入生の皆さん、保護者の皆様、入学おめでとうございます。

ご来賓の皆様、ご臨席を賜りまして、誠にありがとうございます。

今年は少し開花が遅れた桜も、これからの皆さんを祝福するように、

今、満開を迎えようと美しく咲いてくれています。

 

名古屋音楽大学は、同朋学園という五つの機関の中の一つの大学です。
同朋大学、名古屋造形大学、同朋高等学校、同朋幼稚園、そしてこの

名古屋音楽大学が同じ同朋学園の仲間、ということになります。

同朋学園の建学の理念「同朋和敬」とは分かりやすく言うと

「共なるいのちを生きる」という精神です。
私たちは、身分の違いであったり性別、貧富の差を超えて共に生き、

文化や芸術を愛し、あらゆる人々に共有されるものとして

それを分かち合いましょう、という考え方を表しています。

現在の中東やウクライナ情勢などを見て、私たちは音楽家として

何をすべきなのか、どう行動すべきなのかを常に考えなくてはいけません。

この世の中にあって、苦悩や悲しみの中にある人々にとって、音楽、芸術で

救いとなることが出来れば「共なるいのちを生きる」という建学の精神に

かなうのではないでしょうか。

 

さて、これから皆さんは早速、明後日から授業に突入するわけですが、

皆さんの専攻、専門とする分野の研究はもちろん、せっかくこの名古屋音楽大学に

入学したのですから、大学でしか学べない、大学でしか出来ないような

専門分野以外の学びにも積極的にチャレンジしてみてください。

例えば、私はピアノが専門ですが、西洋音楽史もとても大事と考えています。
また改めて音楽史の授業で触れますが、「芸術音楽」とはいったいどのような

ものを指すのでしょうか。

それは「紙の上で、音を設計する、音の設計図。イコール楽譜として書かれた音楽」

と言えます。
イタリア、フランス、ドイツなどの西洋社会の知的エリートによって支えられ、

発達してきた音楽文化なのです。

いわゆるクラシック音楽を勉強する人はもちろんですが、ジャズやミュージカル、

音楽教育、音楽療法などを志す人にとっても源を辿っていくとそこにぶつかっていきます。

その歴史を学ぶことは皆さんの専門分野にも更に彩りを与えることが出来、豊かになって

いくものと考えています。

そのような授業が沢山用意されているので、張り切って履修し、積極的に学んで欲しいと思います。

 

大学院に進学された皆さん、おめでとうございます。

学部で学んだ基礎を更に磨く研究を推し進めるとともに、これからは、より国際的な見識を

広げる努力もして欲しいと思います。

「めいおん」では海外学術交流も盛んに行なっており、休学をしないでヨーロッパなどで

学べるエラスムスプラスという制度は現在のところ、非常に上手くいっています。

実際に留学した皆さんの先輩達の驚くほどの成長を目の当たりにしているところであります。
強い意志があり、専門分野や語学の勉強を怠らなければ、ここにいる皆さんにも

チャンスはあると思います。

 

さて、この4月から私も皆さんと同じ、学長として一年生です。
希望とともに不安や緊張もあります。皆さんも同じではないでしょうか。

今日この後に、皆さん一人一人にアドバイザーの先生方が割り振られており、

その先生方との顔合わせがあります。
高校でいう担任の先生だと思ってくだされば良いと思います。
困ったことがあれば、何でもアドバイザーの先生などを頼って相談してみてください。
私たち教職員は皆さんをしっかりサポートする、という体制が整っています。
安心してこれからの大学生活を送ってください。

音楽も日々進化しています。伝統ある音楽を大切に継承していく努力をしながら、

この先、未来に進化していく新しい音楽へのニーズにも敏感に応えていこうと考えています。

それには若い皆さんの意見が必要です。

こういう新しい音楽の風が吹いているよ、と私たちにも教えてください。

音楽を通して、共なるいのちを一生懸命に生きていきましょう。
よろしくお願いいたします。

 

2024年4月2日

名古屋音楽大学学長 清水皇樹

 

 

【入学認定式では、在学生の演奏で華を添えました】

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