

新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
昨年度、名古屋音楽大学は創立60周年を終え、また新たな第一歩となる令和8年度は学部生104名、大学院生21名の可能性溢れる皆さんを迎えることに大きな喜びを感じております。
名古屋音楽大学の建学の精神は浄土真宗の教えを基にした「同朋和敬」です。
分かりやすく言えば「共なるいのちを生きる」を理念としています。
お互いの違いを認め、敬い、共に学び共に成長する姿勢を尊重する、そんな人間教育を本学では行っています。
皆さんがこれまで努力してきたそれぞれの専門分野、専攻とするものを更にこの名古屋音楽大学で磨いて深めて欲しいと思います。
音楽といっても実に多種多様です。本学では17のコースに分かれており、皆さんはこの17のコースのどこかに所属しています。
自分の専攻を極めながらも是非、他のコースの仲間達とも交流を深め、友情を育み、音楽でのコラボレーションを試みてください。
お互いに目指している音楽の分野は違っていても、それを理解することによって、尊敬の念が生まれ、互いに敬う姿勢は深まるものと考えます。
本学では、非常に沢山の演奏会が開催されるのもこの「めいおん」の魅力の一つです。
大学主催の演奏会には出来る限り足を運んで、仲間の演奏を是非聴いてください。
特に自分の専攻以外の演奏会も聴いて欲しいと思います。
音楽とはこんなにも素晴らしく、また知らなかった新しい魅力があるのだ、ときっと感動することが多々あると思います。
それは自分の演奏や研究の糧にもなり、表現を深めることに繋がります。
そしてお互いにコラボレーションをすることに意欲が湧くかもしれません。何か新しい音楽の可能性がまた広がったら素晴らしいと思いませんか。
これは正しく、お互いの違いを認め、尊重し、音楽を通して共に成長することに繋がります。
これが名古屋音楽大学の目指す教育目的でもあります。
世界共通語である音楽を志す皆さんは、常に世界情勢にも目を向けて関心をを持って欲しいと思います。
ロシア、ウクライナの紛争、イスラエル、アメリカ、イランの紛争等、果たして皆さんは世界で起こっているこのいろんな事象について何か意見を持っていますか。
私はピアノを専攻していますが、西洋音楽史の授業も担当しています。
ドイツ生まれのベートーヴェンはフランス革命の真っ只中に生きた作曲家でした。傑作の一つである交響曲第9番、最終楽章でベートーヴェンはシラーの詩である「歓びの歌」を合唱で歌い上げました。
彼は世の中にどんなメッセージ伝えたかったのでしょうか。
また、ポーランドの作曲家でありピアノの詩人といわれたショパン。当時のポーランドは現在のウクライナと同じような境遇にあり、戦禍を逃れパリに移り住む中、祖国ポーランドを思い続けました。有名な「革命」と呼ばれるエチュード。この作品は彼の祖国に対するどんな苦しい想いが込められているのでしょうか。
その背景も知らずに私達はその偉大な作曲家達の作品を表現することは到底出来ません。
そして、その作曲家達の当時の心境に想いを寄せ、共感する心、魂が必要です。
この大学で学ぶ中で、自分の考え、想いを「自分だけの音、響き」として語れる、そんな音楽家を目指して必死に努力してください。
私達教職員はそんな貴方達が充実して学べるように全力でサポートします。
皆さんの名古屋音楽大学への入学を心から歓迎します。
共に音楽を通してオーケストラのように豊かに響き合いましょう。
入学おめでとう。
令和8年4月2日
名古屋音楽大学学長 清水皇樹